鉄道員

1956年作品、「鉄道員」。監督は主人公のアンドレア・マルコッチに扮するピエトロ・ジェルミ。ジェノヴァの出身なんですね・・・。ローマの方だとずっと思っていました。
だいぶ・・・・昔(?)、NHKの教育テレビでこの映画を放送したのです。お子様が出る映画はきらいっ!とか言って(いやな奴ですねぇ・・・)それまで敢えて見ようとしなかったこの「鉄道員」。それが・・・、見終わって号泣したんですね。社会派映画であるのはご承知のとおり。でも、当時心が空っぽだった私に「人生」ってなんて愛おしい、と感じさせてくれた傑作でした。 サンドリーノの「元気」胸にしみましたね。 以来、この映画は私の大事な一作になったのでした。 ビデオにも録画しておいたりしてね。それが・・・、その私のお宝のビデオが・・・、ないっ!引越しのどさくさに紛れてなくなってしまった!ひゃーっ!
で、記憶に任せて・・・書きます。当時のプログラムも持っておりませんので間違いがあったらご容赦です。。。l
映画のクライマックス。長い間、家に居つかなかった子供たちが久々に父と再会、隣近所の人々も加わって、ささやかなクリスマスの夕食は大宴会へと。客人たちが全員帰った後、幸福に満ちた主人公アンドレアは一人ギターを爪弾きながら、妻サラに語りかける場面。ここで奏でていたのが、カンツォーネ・ナポレターナの「レジネッラ」と「恋する兵士」だったはずです。この映画の舞台は多分ミラノ郊外。しかし、この場面でこの選曲となると・・・、主人公の一家はナポリ出身と考えたくなります。家族の会話にナポリ・アクセントは聞こえないのですが、ナポリと言わずとも、おそらく仕事のない貧しさにイタリア南部からミラノに赴いて、鉄道機関士の仕事についたという想定でしょう。その象徴がこの2曲のナポレターナにあると思います。それと、もう1曲気になるのは、その宴で流れていた舞踏曲。これは「若者のすべて」でも使われてましたっけ・・・? 
いずこであろうとマルコッチ一家は南部出身であったのだろうと、切ないギターの調べが物語っていたのでした。私はそう理解しています。「鉄道員」のピエトロ・ジェルミの方が「刑事」の彼より好きだな。製作はカルロ・ポンティ、音楽はカルロ・ルスティケリでした。