2017年2月20日、KING RECORDSより発売!(NKCD 6783)
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「あなたに2〜愛の物語 “SENZA E TE”」
トラックリスト
- 愛のルネッサンス Noi Due Nel Mondo E Nell’Anima
- 遥かな愛 Senz E Te
- 君だけを愛して Io Che Amo Solo Te
- この胸のときめきを Io Che Non Vivo
- 愛は偽り Ma Si E’ Over Ca Me Vuo’ Bene
- うつろな愛の日々 Tu Che Ne Sai
- あなただけを L’uomo che amava le donne
- おやすみなさい Dormi
- 恋のひととき Un Ora Sola Ti Vorrei
- 幸福がいっぱい Il Cielo In Una Stanza
- 君を歌う Canzone Per Te
- 静けさの声 La Voce del Silenzio
- 限りなき世界 Il Mondo
- おやすみなさいDormi (日本語ヴァージョン)*
- うつろな愛の日々Tu Che Ne Sai(日本語ヴァージョン)*
* BONUS TRACKS
松本淳子にとって15年ぶりのアルバムがついに完成した。
最初のアルバム「あなたに〜」から数えて17年で3枚、ミニCDを加えても4枚、
カンツォーネの第一人者のCDをたくさんの人が待っていたに違いありません。
カンツォーネ・ナポレターナの大巨匠アウレリオ・フィエロ最後の弟子である彼女は、歌の国イタリアの歌の泉とも源流とも言えるナポレターナを歌わせたら、日本で右に出るものなしという存在でもあります。
今回のアルバムは彼女の1st.アルバムをプロデュースしたトニー・ラブリオーラに再びプロデュースをお願いした。彼女の希望は現代のコンテンポラリーを求めたのです。歌手としてデビューし、後に若手の育成に尽力し、プロデューサーとして手腕を発揮し始めていた時に1st.アルバムのプロデュースを依頼。
トニーはその後、着実にイタリアでの実績を上げていった。カストロカーロ新人コンテストに関わり、その後サンレモ・アカデミーで修練を重ねて、切磋琢磨の中からサンレモ音楽祭新人部門への参加資格を得るという現在のコンテスト出場の1つの道において、トニーはアカデミーでヴィンチェ・テンペラ達とともに教鞭をとっています。後にマティア・バザールのヴォーカルをつとめる事になるシルヴィア・メッツァノッテは、そのころからのトニーの生徒でした。最近ではたびたびの来日公演でおなじみのソプラノ、カーティア・リッチャレッリのアルバムのプロデューサー(Universal Music)も努めました。2016年6月には自らが音楽を担当したミュージカル「PRIMO PAPA*」がサンレモのアリストン劇場で初演され、以降各地で大評判になっています。
(*とは最初のローマ法王と言う意味で、キリストの処刑前から、ペテロの処刑、そのペテロの遺言に基づいて建立された聖ピエトロ寺院。さまざまな迫害の後に今あるローマが始まった。というローマ市の夜明けを描いたミュージカル)
松本淳子がトニーにこだわったのは、もちろん自分は日本人で決してイタリア人にはなれないけれど、現在バリバリのイタリア・コンテンポラリーど真ん中にいる人ときちんと向かい合いたい。この一点に尽きる。ですから、出来上がった作品は狭い日本に留まらず、イタリアでも充分に競争力のあるものに仕上がっている。
今回も新曲を収録した。1曲は長いお付き合いのマエストロ、ジーノ・メスコリが作曲したもの。後の3曲はトニーが書き下ろしたもので、最初はこの3曲から選択する予定だったが、それぞれが甲乙付けがたい出来上がりだったのと、トニーがナポリ方言の歌詞を書いてきたこともあり、提案された曲全てを収録することにした。
録音が始まった時、エンジニアのアンドレアが松本さんの歌に唖然としてしまい、録音ボタンを押しそこなう場面があったくらいだ。歌詞カードという文字情報があってもナポリ人以外は読むのも難しい。リエゾンしちゃう文脈、しない文脈などややこしい。「トニーしかわからないよ!」というアンドレアの戸惑いは忘れられない。
ともかく、ナポレターナ歌い、松本淳子のこだわりとしては、ジジ・ダレッシオ、ニーノ・ダンジェロ、ジジ・フィニツィオ、サル・ダヴィンチ達のようなナポリ・ローカルから全国区に飛び出したスターたちの、いわゆるモダン・ナポレターナが出来上がった充実感は明日への大きなエネルギーになったことだろう。
曲のうちイタリアの標準語による曲は作詞家の許瑛子さんにお願いして日本語詞を付けていただいた。もちろん、オリジナル作詞家の許諾をいただいたものだ。
2016年初夏から録音の依頼を開始、9月からはプリプロダクションの制作を開始、新曲のデモが早々に届いて、松本淳子自身の予定を鑑みながら11月下旬に渡伊、イタリア、エミリアロマーニャ州のフェラーラ市に隣接するオッキオベッロにあるSDTスタジオでヴォーカルを録音した。
(ちなみにフェラーラはボローニャとヴェニスの中間地点に位置し、イタリア最大の大河ポー川の南に位置する。フェラーラの北を流れるポー川を越えるとオッキオベッロというわけ。エミリアロマーニャ県はパルマの生ハム、パルメザンチーズ そして最近良く知られるようになった発泡性の赤ワイン“ランブルスコ”などイタリアで最も芳醇なエリアと言われている。イタリアで最大の穀倉地帯で、米作りが盛ん。リゾットのふるさとでもある。フェラーリの本社がモデナにあり、イタリア国内でも最もリッチな地域である。
フェラ―ラの中心には14世紀に建てられたエステ家の居城エステ城がある。)
今回録音したのは13曲(日本語詞版2曲を含めると15トラック)。9曲のカバー曲は1938年の作品から2010年の作品まで多彩。しかし、どの曲をとっても今の感覚で作られている。松本淳子のレパートリーにはなかったセルジョ・エンドリゴの作品、イ・プーの作品にも果敢に挑戦しているのが意欲を感じられる。
アンドレア・ボチェッリが世界的にヒットして以来、ともするとクラシックのようにベル・カントで歌うのがイタリアと思われがちになってきたが、はっきりと楔を打ち込んできた感じがする。