イタリア旅行

“Viaggio in Italia”文字通り「イタリア旅行」、1953年イタリア作品。
見ていなかったので、「ナポレターナ」が聞けるかどうか案じてましたが・・・。それがいきなり「太陽の土地」ですよ!歌うはジャコモ・ロンディネッラ。なんだ、ありがたいことに舞台はナポリだったのですね。結婚に危機に瀕したイギリス夫婦、アレックス・ジョイス(ジョージ・サンダース)と妻、キャサリン(イングリット・バーグマン)の意味深な、夢の「イ・タ・リ・ア旅行」。

夫婦の宿泊先はあの映画「マカロニ」と同じくホテル・エクセルシオールで、「レセプション・フロント」の外観がほとんど変わってないのですね。
カンツォーネ・ナポレターナもいろいろ出てきますよ。
サンタ・ルチア港に浮かぶレストラン、ベルサリエーレでのディナー・パーティーの場面では、流しの楽団が「こいきなフランスぴん」を演奏してました。そして、作品をとおして、「オ・ソーレ・ミオ」が、「マレキアーレ」が、「マリア・マリ」に「ルナ・カプレーゼ」、「秋/Autunno」がこれでもかと甘く切なく流れていました。 名所旧跡もいっぱい登場、ナポリ・ファンにはやはり嬉しい映画です。
しかしながら、時代もあって ある種の観光映画のようでもあるけど、さすがに「イタリア人」の監督ロベルト・ロッセリーニさん。容赦しない台詞の内容に、怖っ・・・!
誰もがロマンティックな気分にさせてくれるソレントやカプリで心の葛藤をみせる夫婦。「愛と嫉妬」の狭間で悩む妻、それに対立する「自由」を求める夫。ポンペイの遺跡の発掘調査現場を訪れ、人生の「はかなさ」におののく妻、だから「愉しみ」を見つけて行こうと息巻く夫。でも、一見決定的な悲劇に見える二人の相反する心中ですが、凄まじい歴史にボコボコにされたナポリの街と人に入ってしまうと、ごく当たり前の「一般ピープル」にしか映らないのでしょうか。「そーんなこと、好きにやってね」とばかりに・・・ね。
悩むだけ悩め!憎むだけ憎め!愛するだけ愛せ!ナポレターナはそんななポリ人たちが作った歌ですー!
作品の中のムゼオ・ナッツィオナーレのガイドさんの話、面白いですよ!